ゲーム感想「GHOST SONG」

2022年11月20日

2022年11月頭にリリースされた2Dメトロイドヴァニア。Old Moon開発、Humble Games販売。発表からかなり長期間の末に配信された作品らしく、その間には開発の中止や、土台からの作り直し（！）などいろいろあった模様。PCでプレイ。

あらすじ

植物に覆われた衛星ロリアン。地表に墜落した宇宙船の前に打ち捨てられていたコンバット用の「デッドスーツ」があるとき目覚めた。そのスーツをまとう「彼女」は、自身の存在についてや、なぜここにいるのか、目的は何なのかといった記憶を失っており、地下へと潜ることでそれを探ろうとする。果たして彼女は自身の目的を知ることはできるのだろうか……というのが導入。

感想

本作は説明によると「メトロイドヴァニアからインスピレーションを得た」そうだが、内容的にはかなり「メトロイド」寄りの2Dアクション。ショット、ジャンプ、近接攻撃のほか、エネルギーを使う特殊武器や回避行動など基本的な要素があり、「メトロイドサムスリターンズ」で取り入れられた、自機移動をロックした状態でのオールレンジショットまで備えている。本作独自の面白い要素として、銃撃による攻撃を連続して行っているとその砲身がオーバーヒートしてしまい、弾道がブレる上に威力もダウンするがその時間だけ近接攻撃が強化されるという仕様がある。オーバーヒートしてしまったその砲身でぶん殴ると熱い＆痛い……というのは非常にわかりやすく納得がいく。まあ途中から槍みたいな銃口と関係ない近接武器が出てくるのだが、オーバーヒートがペナルティではなく別行動によるチャンスタイムになっているのはなかなか考えられていると思った。
また、特殊武器のエネルギーだけでなくスタミナゲージなどもあり、同じ行動ばかりできないようになっているためアクション難易度はそこそこ高い。またソウルライクな要素も見られ、「やられるとその地点に蓄積したポイントを落とす」「回復できる回数はセーブポイントで回復」といった仕様も組み込まれている。ちなみに、ポイントはショップでの通貨やレベルアップに使用する。

本作の良い点はグラフィック、特に「Hollow Knight」をさらに一段回リアル寄りにした植物の描写。場所によってはかなり不気味なオブジェなどもあり、遊んでいるときには思わず「うわぁ……」と声が出たほどで、舞台となるロリアンの異世界じみた生態系がよく表現されている。このタイプのゲームにしてはちょっと病的なくらいの描き込みの細かさで、こういうゾクゾク感を与えてくれるグラフィックは貴重である。

SFらしい異世界感溢れる情景が多い本作。
背景に気合が入っていることがおわかりいただけると思う。

メトロイドヴァニアとして、探索範囲が広がるような能力は少ないながらも用意されており、入手したときの「それまで到達できなかった場所、気になる場所に行ける」という喜びの瞬間を味わうことはできる。マップの規模自体はあっさりめなのだが、次に向かう場所のヒントがなくなるタイミングがあるなど不親切な迷わせ方をしてくるのでストレス的にはギリギリ許容できる範囲に収まった、という印象。
そうしたヴァニアらしい要素がある反面、セーブポイントやファストトラベルできるポイントがすくなかったり、ボスの居るポイントからかなり離れていたりと、やや不便な要素も。プレイヤーは敗北するたびにデッドスーツが損傷し最大HPが減少していく。なかなかきつい要素と思いきや、ちょっとポイントを消費するだけで簡単にペナルティを消すことができるので、果たして入れる必要があったのかと疑問に思った。
あと気になるところとしては、戦闘寄りな操作性なのでもうちょっとボスを多めに……というか、基本的にオールドスタイルなガチンコバトルが多めなので、ショットと近接の切り替えをうまく組み込んだギミックが欲しかったかも。せっかく他のゲームであまり見ない要素なのに、ボス戦の印象があまり残らないのも勿体ないなぁと感じた。あとはやたらとNPCとの会話シーンが多くｍ攻略とは関係ない内容なので、そういうテンポの悪さも最近リリースされたのに昔の作品っぽさが出てしまう要因なのかも。

まとめ

というわけで、少々古臭さの残るものの、ちょっと面白そうな要素やグラフィックの綺麗さが光る「メトロイド」フォロワーな作品。だいぶ前の発表からようやくリリースにこぎつけたそうので、今段階での名作、傑作と比較してしまうとオールドスタイルに感じられてしまうのは致し方ない。画面の見栄えはするので、その部分が気になった方は遊んでみるとよいかもしれない。