ゲーム感想「Mina the Hollower」

2026年5月末にリリースされた、見下ろし型2Dアクションアドベンチャー。開発、販売は横スクロールアクションの傑作「ショベルナイト」を手掛けたYacht Club Games。プラットフォームはPC、Nintendo Switch、PS4/5、Xbox Seriesなど、大体のデバイスで遊ぶことができる。ちなみにこちらは2022年にKickStarterで資金を募っており、私も支援していたのでわりと待ち望んでいた作品。PC版でプレイ。

ストーリー

テナブラス島に向かう船上で、穴掘り師(ホロワー)のミナは島の名士ライオネルに仕える元帥からの手紙を読んでいた。かつてミナはスパークと呼ばれるエネルギー装置を発明し、それにより島の生活水準を大幅に向上させたのだが、最近その装置の様子がおかしくなり、また島に正体不明のモンスターが出没するようになったという。救援要請に応じる形でやってきた彼女だったが、突如船はモンスターに襲われてしまい……というのが冒頭。

感想

まず画面を見て思うのは、ファミコンやゲームボーイカラーを彷彿とさせるドットグラフィックの完成度。特にゲームボーイのゼルダの伝説「夢を見る島」「ふしぎの木の実」といった、いわゆる「GBゼルダ」風なトップビューのアートスタイルとなっている。往年のゲーマーはまず懐かしさを感じてしまうのではないかと思う。

本作を一言でいってしまえば、2Dゼルダの伝説をベースにソウルシリーズや悪魔城ドラキュラシリーズといったアクションゲーム的味付けがされた、好きな人にはたまらない内容。
「ホロワー」である主人公のミナを操作し、フィールドやダンジョンを攻略していくのだが、本作最大の特徴として、ミナはジャンプボタンを長押しすることで地面に潜ることができる「穴掘り移動」がある。このアクションが本当によくできており、作品を象徴する遊びとしてしっかりとゲーム性に落とし込まれていると感じた。
まず地中にいる間は地上の敵との接触や、地上のみの攻撃を回避できる。また、壁の下にちょっとだけ空いた隙間や、テーブルや椅子の下、張りめぐらされたロープの下など、地上やジャンプでは移動できない場所を通過することができる。さらに、岩の下から地上に出ることで岩を持ち上げたりなど、オブジェクトに対して地中から干渉することも可能。
穴掘り自体はゲーム開始時から使うことができるので、まずこのアクションに慣れて使いこなすことがゲームの第一歩――というか、アクションも謎解きもこれをフル活用することを前提とした難易度となっている。とくに穴掘りで行ける場所を探せなかったり、地中から干渉する発想に至らなかったりすると、実はそこが正解だと気づかずに詰みかける可能性も。ただそういう場所には地面を掘ることで得られるボーン(この世界の通貨)が埋まっているなど、誘導はしっかりされている。
つまり本作は2D見下ろし視点でありながら、空中、地上、地中という高さの概念を考える必要があり、2Dの見た目で3D的な遊びをやろうとしているという、なかなかに挑戦的な作品なのだ。

ゲーム画面。見下ろし型でありながら、穴をジャンプで飛び越えたり、
ロープの下を地面を潜って移動したりとまさに三次元的な世界が広がっている。

また私は途中まで気づかなかったが、実は本作のゲーム進行はGBゼルダのように「ダンジョンを攻略する過程で新たな能力を手に入れ、行動範囲が広がっていく」形式ではない。初期状態でできるアクションを駆使すれば、最初から大抵のフィールドやダンジョンに向かうことができるという「ブレスオブザワイルド」のようなタイプだったりする。ただ敵の強さは固定されているので、好きな場所に行くことはできてもそのまま攻略というのはかなり難しそう。とはいえ、腕に覚えがあれば色々な遊び方ができるのは良いと思った。
アクションゲームとしては前述の穴掘りに加えて選べる武器も多く、サブウェポンやトリンケット(聞きなれない言葉が小さな装身具のこと。要するにアクセサリ)などでプレイ感が相当変わるので、やはり自由度が高い。戦闘難易度はいわゆるソウルライクゲーム並の歯ごたえになっており、自分の腕前と嗜好なども加味してどういう編成にするかなどでかなり楽しめる。

そして個人的に唸ったのは随所に設けられたイベントやギミックなど仕掛けの厚み。
マップの広さとしてはレトロゲーム準拠というか、昨今のいわゆるオープンワールドゲームと比べると広くはないが、まんべんなく要素が詰まっており決して狭いとも感じなかった。そもそもダンジョンを普通にクリアするだけでもしっかりとギミックの練られた遊びごたえがあるのだが、冒険の拠点となるホネックスの町ですら、ギミックや隠し要素、イベント、隠しボスなど遊びが盛りだくさん。
私はゲームクリア後にネットで情報を漁ってみたのだが、そこに見たことのないイベントやキャラクター、隠しエンディングなど、見たことのない要素がたくさんあってさらに驚いた。アクションの難易度や自由度の高さも含めて、相当リプレイ性は高いことは間違いないだろう。
個人的に好きなイベントというかギミックは、町にある謎の巨人が運営しているアイテムショップで、店のそばを移動しているとお店の中からいきなり手が伸びてきて引きずり込まれ、強制的に買い物画面に移行するというもの。頻繁に起こるためストレスではあるのだが(笑)、そのお店に並んでいるのはゲーム攻略に有用なアイテムばかりで、購入した分だけミナが強くなる設計になっている。見落としをさせずに強化要素を印象付けるという意味でなら役割は果たしており、その強引さも含めネタとしてはかなり面白いと思った。

ストーリーに関してはちょっとビターエンドな感じが強く、正直そこに至るまでの流れに対して思うところがないわけでもないが、クリアした後で終盤のある一幕でのギミックを知り驚嘆。詳細は語らないが、そんなに気持ちいい場面でもないのにこの仕掛けをやるためにかかるコストを考えるとちょっと偏執的(誉め言葉)とすら思うレベルで、よく実装したなあと。

音楽は「ショベルナイト」と同じくvirtことJake Kaufman。チップチューンながら現代風の厚みがあるスタイルは職人芸レベルでクオリティが高い。個人的には序盤のフィールドで流れる「A Sinking Feeling」がお気に入り。さらにあの古代祐三氏も楽曲を2曲提供しているとのこと。特に「Theory of Everything」はプレイした人なら相当耳に残っているのではないだろうか。ちなみにYacht Club Gamesの公式youtubeチャンネルではサントラ動画が公開されている。公式がこういうものを出してくれるのはなかなかありがたいが、楽曲名やどこで鳴るかなども記載されているのでネタバレに注意。

まとめ

というわけで、GBゼルダの伝説風の謎解きに、骨太アクションとギミックを詰め込んだアクションアドベンチャー。懐かしさのある見た目とは裏腹に、個性的なシステムとクセの強い味がする傑作。個人的には、現代的な遊びをレトロなデザインの中で再現、構築してやろうという作り手の野心というか執念が感じられた。難しいといってはいるがかなり細かく難易度設定もできるので、気になっている方はぜひおすすめしたい。

公式サイト
https://www.yachtclubgames.com/games/mina-the-hollower/

PC(Steam)
https://store.steampowered.com/app/1875580/Mina_the_Hollower/?l=japanese

Nintendo Switch
https://store-jp.nintendo.com/item/software/D70010000127973

PS Store
https://store.playstation.com/ja-jp/concept/10010918

Xbox
https://www.xbox.com/ja-JP/games/store/mina-the-hollower/9NZTGLVS99X3