ゲーム感想「Cairn」

2026年1月末にリリースされた、サバイバル・ロッククライミングゲーム。開発、販売はフランスのThe Game Bakers。己の身ひとつで岩壁を登るロッククライミングを主題とし、ゲームに落とし込んだ作品。タイトル読みは「ケルン」で、山中の目印として置かれている積み石を意味するそう。プラットフォームはPC、Play Station。私はPC(Steam)でプレイ。

ストーリー

霊峰「カミ」。9005メートルを誇る神秘の山であり、数々の挑戦者のうち完登者ゼロ、諦めて戻った生還者が4割という死の山でもある。ドキュメンタリー映画が作られるほどの登山家アーヴァは、長年の相棒である旧型のクライムボットとともにカミに挑む。今までの登山では得られなかった「永遠という祝福の一瞬」を求めて……というのが導入。

霊峰「カミ」。
ここから見えるすべてを本当に登っていくことになる。ひえー。

感想

面白かった。
とにかくゲームのキモであるロッククライミング要素が秀逸で、それだけでゲーム体験として素晴らしいと感じた。私はボルダリングくらいしか経験がないが、本作の「登る」遊びは間違いなく実際のそれと同じ感覚で遊べる(実際にゲーム内のチュートリアルでも、簡単なボルダリングを行う)。ゲームの基本は、両手両足それぞれを一つずつ操作して岩壁に固定しながら移動するというもの。凹凸の角度によって、アーヴァの踏ん張り力やスタミナ減少に影響する。しっかりとした出っ張りなら上りやすいが、つるっとした壁面に手足を引っ掛けるとそこで長時間体を維持はできない。
このリアルさが、他のゲームに存在するクライミングと一線を画すのと同時に最大の売りである。岩壁の出っ張り、くぼみ、亀裂、材質、そして斜面など、すべてが見た目通りの影響を与えるため、体を支えるプレイヤーはどこに捕まるか、どういったルートで上を目指すかといったことを考えながら登らなくてはならない。どこに手足をかけているかや体勢などで次に伸ばす手や足の範囲が変わるし、どういった体勢ならスタミナに負荷がかからないかといった実際の知識が役に立つなど、かなり現実に即して作られているように感じた。

岩壁の凹凸や亀裂が細かく設定された地形。
主人公はそれらに手足を固定しながら登頂を目指す。ちなみにここはウォーミングアップの山。

そこにゲームならではの空腹や水分など体調管理を行うサバイバル要素を伴っている。
山には野草などの食料や湧き水などが点在し、それらは調理、使用することで一時的な能力強化や保温効果といったプラス要素が付与される。やり方次第でかなりクライミング難易度を下げられるが、リアルさ、面白さを損なうレベルではないと思う。
何より一つ一つの崖を攻略するたびに広がる景色が徐々に変化していく感動と、同時に地表が小さくやがて雲海で見えなくなる「こんなところまで来ちまった」感は、本当に山登りで味わう体験にかなり近しく作られている。

登山ゲームというだけでも本作はユニークなのだけど、もう一つ感じたのは思った以上に物語部分――ナラティブに力が入っていたという点。これは完全に予想外だった。
基本的にネタバレはしないスタンスなので多くは語らないが、ロッククライマーという、命の危険を伴いながらも自然に挑む主人公の苦悩や葛藤がリアル。途中から登山家になった気分にさせられ、立ちはだかる岩壁に絶望し、ゲームクリア後に出る最後の一文が胸に刺さった。なんならこの物語を作りたくてゲームをデザインしたんじゃないかというくらい、内容、演出ともによかったです。

まとめ

というわけで、実際のクライミングに近い感覚を味わえる、まさにシミュレーター的作品。移動すること自体が遊びであり、かつ面白いという非常に稀有なゲーム。ストーリー含めてこのゲームでしかできない体験なので、気になった方はぜひ。

公式サイト
https://www.thegamebakers.com/cairn/

PC(Steam)
https://store.steampowered.com/app/1588550/Cairn/

Play Station Store
https://store.playstation.com/ja-jp/concept/10014085/