ゲーム感想「Slay the Spire」

非常に中毒性の高い、ローグライク・デッキ構築型デジタルカードゲーム。
自分の場合、一時期など気がつくと休みが吹っ飛んでいたという始末だった。
なぜそんなにハマるのかというと、このゲームは要素のほとんどが「繰り返しプレイをさせる」方向を向いて設計されており、特に「ランダム」×「選択」という掛け合わせがあまりに見事なのである。

プレイヤーは用意されたキャラクターの一人を選び、道中に戦闘やイベントをこなしながらSpire(尖塔)を上へ上へと登っていく。登るといっても地図画面でマスを指定するだけで、ゲームの大半は敵との戦闘がメイン。

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出典:https://www.megacrit.com/press/

戦闘はターン制で、プレイヤーはターン毎に自分のデッキである山札から配られる手札を駆使して敵を倒す。
手札にはコストがあり、コストを超えた手札の使用はできない。強力なカードほどコストも高いが、コストが低いカードでも組み合わせや使う順番次第で十分戦える。

プレイヤーターンが終わると敵のターン。
敵が仕掛けてくる行動は、プレイヤーのターンから頭上にカテゴリ明示されているので、何がくるかを予測しながらカードを使うことが大切である。
戦闘に勝利すると、報酬として新しいカードやアイテムがもらえる。キャラクター自身にレベルはない。カードやアイテム、レリックはイベントやショップなどでも入手可能。
そうやって自身を強化しながら進み、最奥にいる敵を倒すのが目的となっている。

「Slay the Spire」の中毒性が高い理由として、ローグライク要素がある。
ローグライクの正確な定義は横においておくとして、「Slay the Spire」はゲームオーバーになるとカードもアイテムも何もかも失う。再度挑戦するときは塔の初めから挑まなければならない。
また、道中発生するイベントや出現する敵の報酬、道の分岐、ショップにならぶアイテムや宝箱の中身、ステージの最後に戦うボスが、プレイのたびにランダムで入れ替わる。

そして、そこに深く食い込んでくるのが「選択」要素で、これがこのゲームの真に恐ろしいところだと思う。

まず、ボスまでの道のりは地図上で開示されており、いくつかのスタート地点を選べる。
道中には戦闘マスやイベントマス、休憩マスなどがあり、いくつかの分岐で道を選べる。
イベントマスで起こる出来事にも選択肢があり、ほとんどの場合なにが起こるかもわかるので結果を選べる。
ショップマスでは何を買うか選べる(品物は毎回変わる)し、カードを1枚削除することもできる(当然、選べる)。
休憩マスでは休んで回復するか、手札をアップグレード(効果を強化)するかなどを状況によって選べる。

戦闘では、山札から回ってくる手札の運こそあるものの、基本的に効果に関して運の要素は排除されている。
カードの効果や敵の行動を頭に入れ、どの順番でどの手札を使えば高いパフォーマンスを出せるかを考慮していく選択を迫られる。
敵を倒したときに手に入るカードやレリックも、基本的にランダムに出た3つから1つを選べる。

「ランダム」×「選択」という、自動抽出されたものの中から最終的な選択をする仕組みにより、結果は膨大なパターンになるし、そこに必ずプレイヤーの意思が挟まるために理不尽さの緩和され、ランダムだけのいわゆる「運ゲー」にならない。
それに、カードの効果やアイテム、レリックの説明などポインタを乗せるだけで表示されるので覚えやすく、「次はああしよう」「あれが出たらこうしよう」といった成長や戦術構築を促す。

また、キャラクターごとのカードデザインも、コストや用途まで設定にあわせて設計されている。
たとえば暗殺者のサイレントは、手札にナイフカードがあればコスト0で使用することができる。ナイフカードが複数あれば、それを連続で投げる(コストを気にせず)というイメージを想像しやすい。
他にも、ロボットであるディフェクトには「効果をX(残コスト)回行う」という繰り返し構文のようなカードがある。
当たり前なのかもしれないが、細かいところまで考えが行き届いているなあと感心してしまった。

というわけで「Slay the Spire」、おすすめです。

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