ゲーム感想「Skul:The Hero Slayer」

2021年2月にPCで配信されたローグライク・2Dアクションゲーム。家庭用には同年10月にNintendo Switch、Xboxで配信(PlayStation版も発表されているが現在海外のみの模様?)。開発は韓国のSouthPAW Studio。中世ヨーロッパのようなファンタジー世界が舞台で、勇者や魔王などお約束の世界観なのだが、プレイヤーが操作するのは小さなスケルトンという変わった作品。自分はPC版をプレイ。

本作の世界観は、一般的な人間と魔物(魔族)のイメージが逆転した世界となっている。魔族たちは人間と和平条約を結び干渉することなく暮らしていたのだが、ある事件をきっかけに人間たちは大挙して魔族軍の土地を一方的に侵略、蹂躙してきた。
戦禍に包まれた中で目覚めたスケルトンのスカルは、他のスケルトンたちの力を借りて人間たちに囚われた魔女を助け出す。どうやら、自分たちの主である魔王は捕まってしまったらしい。そこへ圧倒的な力を持つ初代勇者が登場。攻撃されたもののなんとか魔王の城まで逃げ帰った魔女とスカルだが、魔女は負傷し戦えなくなってしまった。頼みの綱は、頭蓋骨を付け替えることでその能力を行使することができるスカルのみ。こうして、スカルは他に捕らえられた仲間や魔王を助けるために反撃を開始する……というのがざっくりとしたお話。

主人公は魔族のスケルトン、敵は人間の王国軍という逆転シチュエーション。
ドット絵グラフィックも非常にきれいで、よく動く。

「Skul~」のおおまかなゲームの流れは同ジャンルの「Hades」に近い。プレイヤーはスカルを操作して、区切られた小マップ内の敵を倒し報酬を手に入れながら進んでいく。一定の数の小マップをクリアしていくとそのエリアのボスがいるマップが出現し、ボスを倒せば次のエリアへ……という流れ。
小マップでもらえる報酬は「お金」「アイテム」「頭蓋骨(後述)」で、これは事前の小マップクリア時に進む部屋を選ぶことで種類の選択ができる。頭蓋骨とアイテムは自身を強化し、お金は固定で出現するお店で使用するので、どう強化していくかを考えながら進んでいく必要がある。基本的に手に入れたものはクリアor敗北でリセットされるが、道中に敵撃破などで得られる魔石だけは失わないので、これで基礎ステータス上昇や、新たなアイテム、頭蓋骨をアンロックすることが可能。最初はなにもわからないうちにやられてしまうだろうが、遊んだ分だけ基礎ステータスやプレイヤースキルを向上させることができるという、この手のジャンルの要素は一通り押さえている。

本作一番の特徴は、スカルの能力でもある「頭蓋骨をつけるとその姿に変身できる」システムだろう。さながらアンパンマンのように頭の取り外しが可能なスカルは、剣士の頭蓋骨をつければ剣士に、魔道士の頭蓋骨をつければ魔道士に、ミノタウロスの頭蓋骨をつければミノタウロスに変身することができる。これらキャラクター(頭蓋骨)の種類はかなり豊富で、前述だけでなく弓兵や盾兵、盗賊といった定番ものからウェアウルフやガーゴイルのようなモンスター、さらには某アメコミヒーローのバイク乗りや西遊記の孫悟空などのパロディ、ロックスターといった世界観無視のコミカル枠まで様々。そのどれも特殊能力や性能、スキルが異なっており、まずこれだけでゲームプレイがだいぶ変わる。
さらに、これらには4段階のランクがある。はじめからレジェンダリー(最高)クラスのものもあるが、それ以下のキャラでも一定数の骨の欠片を集めることでランクアップさせることができる。ランクがあがれば能力も強化されるので、冒険中はどのキャラを強化させていくかといった楽しみもある。コンセプトの部分がしっかりと面白く、遊びの幅が出るようになっていてこれはよくできていると感じた。

頭が変われば攻撃アクションや性能も変化する。
物理型、魔法型、接近型や射撃型、トラップや召喚など種類はさまざま。

そして、アイテムにはアイテム自体が及ぼす効果とは別に、固定で特殊効果(ステータス上昇や能力付与)がついている。特殊効果にはレベルがあり、同種のものを集めることでより効果が強まる。慣れてくると、このキャラにはどのアイテムが必要かなど戦略を立てることができとても面白い。実は、操作キャラクター以上に重要な要素である。
というのは、このゲームは見た目以上に非常に難易度が高いのだ。中盤以上のザコ敵がとにかく固く、しかも数も多いので生半可な強化では捌ききれない。頼みの綱である頭蓋骨やアイテムは運次第で必ず効果的なものが出るとは限らず(そこがローグライクジャンルの楽しいところでもあるのだが)、しかもこれらの大半は攻撃能力に特化しており、それに比べると防御面の強化は控え目な印象。「攻撃は最大の防御」とはいえ、この偏りも難しさの一因であるように思う。
正直自分は終盤ステージのボスにたどり着くのもやっとで、途中から「ルーキーモード」という敵から受けるダメージを半減させる設定(オプションでいつでも変更可能)を使ってやっとクリアできた。自分なりにしっかり強化して、そのモードを使ってちょうどよい感じなので、通常モードでクリアするには相当な慣れを要すると思う。まあ、それだけ長く遊べると捉えることもできるのだが。
あとは、テキストの日本語ローカライズは正直もう少し頑張ってほしかったところ。まあゲームを遊ぶのに支障をきたすほどではないので、さほど問題ではないとは思う。道中のストーリーも、正直あまり内容が入ってこなかったのだが、エンディングまで到達するとストンと腑に落ちるなかなか良い終わり方をする。

というわけで、異色の設定にドット絵がきれいなローグライク・アクション。ゲーム難易度は若干高いが、1回クリアするだけでもお値段分の価値は十分にあると思うし、長く付き合う覚悟で遊べば、キャラの数×アイテムビルドで応えてくれるやりごたえある作品だと思う。

画像:https://www.igdb.com/games/skul-the-hero-slayer/presskit

PC(Steam)
https://store.steampowered.com/app/1147560/Skul_The_Hero_Slayer/

Nintendo Switch
https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000037369.html

Xbox
https://www.xbox.com/ja-JP/games/store/skul-the-hero-slayer/9NW4Z3HPJVKW