ゲーム感想「BIG WALK」
2026年8月にリリースされたマルチプレイヤーアドベンチャーパズルゲーム。制作は「Untitled Goose Game ~いたずらガチョウがやってきた!~」の開発元、House House。本作は1人ではプレイできず、必ず2人以上でないとプレイはできないマルチ専用タイトルとなっている。プラットフォームはPC、Nintendo Switch2、PS5で、クロスプレイ対応とのこと。今回自分はPC版、3人でプレイ。
ストーリー
ストーリーと呼べるものは特に示されない。プレイヤーたちはパズルの用意された広大な島を冒険することになる。
感想
面白かった。この作品の評価は遊んだ人間との「体験」によることも大きいが、ゲームそれ自体も面白さももちろんある、というよりそのゲームデザインが非常によくできていると感じた。一人称視点なのも、プレイヤーが体験として受け取るのに作用している。
パズル自体は言語による説明がなく、プレイヤーたちはルールを理解するところから始まる。それらは難しさや閃きが必要というよりは(もちろん難しいものもあるが)、印象としては意思疎通や協力を促すデザインになっており、クリアの主体はあくまで解き方に気づいた人がそれを言葉やジェスチャーなどで説明するというコミュニケーションによるところが大きい。コンピューターゲームというよりは、複数人でのレクリエーションといったほうがしっくりくるだろう。
本作にはゲーム内で音声チャットが搭載されており、これは距離によって音量や範囲が減衰する。
ゆえに離れた場所での会話はできず、また壁を挟んでの会話は声がくぐもったり、トンネル内では声が反響したりもする。ゲーム内には遠距離で話す用のトランシーバーや拡声器、特定のスピーカーに送信する放送設備などがあり、それらはコミュニケーションを補助するという側面が強い。
また腕の身振りで左右の手をそれぞれ「前に出す」「上に上げる」「真横に伸ばす」といったジェスチャーも可能。これの組み合わせで特定のポーズを取ったり、「バンザイしたら〇〇」みたいなその場でのサインを決めることでもコミュニケーションを取ることができる。

テキストは打ち込めるが、ゲーム的なUI表示は極限まで削がれている。
さらにより遠くを指し示す際に使うレーザーポインタや、暗い箇所を照らすライトやランタンなど、これ以外にもユニークな道具がある。これらを駆使しながら、広大なマップを探索し、各地に用意されたパズルをクリアしていくのだ。
ちなみに照明に関してだが、本作にはゲーム内時間と昼夜の概念があり、とにかく夜は本当に暗いので、明かりを照らすものは冒険には必須といえる(ないならないで暗闇の自然をさまようのも体験として悪くはないが……)。
本作のゲームサイクルはパズルを探す→パズルの解き方を理解し、実践する→クリアした際に入手できる像(私たちはダルマと呼んでいた)を特定の場所に納める→規定数納めるともらえる鍵で島の機能をアンロックしていく→新たなパズルを探す……という形になる。パズルもすぐわかるものからルールが皆目わからないものまでバリエーションがあり、協力がないとできないこともあって正解すると皆で喜びあえる。
本作で凄いと思ったのはグラフィックで、キャラクターは記号化されているが、彼らの冒険の舞台は非常にフォトリアルな自然が広がっている。なのにそこにあるパズルはキャラクターと同じように記号化された、一見して自然から浮いた見た目。奇妙だが、記号化されたものはすべてプレイヤーが見つけたいものなので、パズルをリアルな施設にしなかったというより必要なものを際立たせるためにフィールドがリアルになっているのだと思う。施設やギミックは記号的な単色であり、「赤いタワー」「青い建物」など、説明もしやすい。非常に考えられていると思う。
また、ゲームの「ちょっとだけ不便」という部分が意図的に作り出されているとも感じた。道具の中には、「しょいこ」や「ポーチ」が存在する。これは背中や腰につけることで、そこに道具を一つ固定し持ち運べることができるというもの。基本的に道具は一つしか持ち運べないため、その上限を増やせるありがたい存在なのだが、なんとこれ自分で取りつけ、取り外しができない。しょいこやポーチ、さらにそこにくっつける道具自体も、他のプレイヤーにやってもらう必要がある。たとえば、夜になったときのためにライトをしょいこにセットして一人行動した場合、そのライトを自分で取り外して使うことができないのだ。「やってもらわないといけない」という不便が、他人に頼る→コミュニケーションを促す作用を生んでいる。
さらにゲームが進むと島内を周遊する列車がアンロックするのだけど、これも数が多いわけではなく乗りたいときに乗れるわけではない。またその移動も徒歩よりは早いが決して高速というわけではないので、待ち時間が生まれる。そうした時間もまた会話が捗るのだ。

目的地につくまで時間を過ごす。単なる移動が、体験として刻み込まれる。
まとめ
というわけで、多人数で体験するパズル・レクリエーション的な作品。プレイヤー同士のコミュニケーションが主役であり、ゲーム側はそれを演出し徹底して前に出ない作りになっているのも非常に巧いと感じた。特に最終盤のある施設内のパズルは、このゲームの真骨頂ともいえる内容で感動すら覚えた。おすすめ。
PC(steam)
https://store.steampowered.com/app/1478500/Big_Walk/?l=japanese
Nintendo Store
https://store-jp.nintendo.com/item/software/D70010000109971






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