ゲーム感想「ブラスフェマス2」

2023年8月にリリースされた2Dメトロイドヴァニア。開発はスペインに拠点を置くThe Game Kitchen、販売はTeam 17。2019年に登場し、その強烈なヴィジュアルとゴア描写、独特な世界観で注目を集めた「Blasphemous」の続編。Blasphemous(ブラスフェマス)とは「冒涜」という意味。コンソール版は10月リリース予定とのこと。ちなみに私は前作プレイ済み。

ストーリー

長い眠りを経て「悔悟者」は新たなる地で目覚めた。悔悟者の友が彼の柩を運んだかは定かではないが、新たな武器を取り敵を退けた彼の元に、アヌンシアダと名乗る存在が現れる。彼女いわく、「『大いなる心臓』が鼓動を始めた。新たなる奇蹟の子が生まれようとしている」らしい。悔悟者の目覚めはその生誕を阻止するものとして予言されていたとのこと。「大いなる心臓」はこの世界にある「聖なる御名の街」の中心、三体の彫像の背中に支えられた街の上層部の上空の雲間に浮かんでいる。そしてその行く手には「大信心会」という、奇蹟に選ばれた心臓に仕える者らが待ち構えていることを告げられるのだ。悔悟者は贖罪を背負い、再び冒険の旅へと突き進むことになる……というのが冒頭。

「聖なる御名の街」と、その上空に見える「大いなる心臓」。
独特のおどろおどろしい世界観は相変わらず。

感想

一応続編扱いとなっており、主人公は前作と同じ尖った兜が特徴的な「悔悟者」だが、正直本作から始めても全然問題ないレベル。というのも、前作もそのままゲームを遊んでいるだけでは非常に内容が掴みづらい、抽象的で難解な語り口だったので、明確に何がどうなったといった情報は知らなくても問題ないと思う。ただ、前作の登場人物らしきものと思わぬ形で出会えるので、前作を遊んだプレイヤーなら懐かしいと感じる場面もあった。
前作からの大きな変更点として、三種の武器を選べるようになっている点が挙げられる。プレイヤーである「悔悟者」は最初何も所持していないが、すぐに3種類ある武器から一つを選ぶことになるのだ。鉈のような無骨な剣「ルエゴ・アル・アルバ」、レイピアとダガーの変速二刀流「サルミエント&センテラ」、巨大な炉をフレイルの先につけたぶっ飛び武器「ヴェレディクト」。スペイン語なので名前がいちいちかっこいいが、この中で鉈剣は前作の武器と同じように扱うことができ、よりテクニカルで多彩なアクションができるレイピア&ダガー、圧倒的脳筋プレイが魅力のフレイルと、それぞれ遊び心地がまったく違うものになっている。これらの武器にはそれぞれ固有のスキルがあり、それを使うことによって行ける場所が異なるので序盤のプレイングが多少変わってくる。私は最初にフレイルを選んだのだが、パリィや連撃による強化がないというデメリットを完全にかき消すくらいのリーチとダメージで、特にザコ戦で普通に強かった。

ゲームが始まってすぐに武器を選ぶフェーズに。
選ばなかった武器もいずれ使えるようになるので、楽しむこと優先で選んでよし。

遊んでいて思ったのは、アクション部分は相変わらず「Blasphemous」っぽい、多少緩和されたもののクセのある感じなのだが、それ以外のシステム面がかなりテコ入れされ、かなり遊びやすくなっていること。前作であった「聖遺物」による特殊能力の有効化はなくなり、すべてがパッシブ状態で利用できるものと、武器固有のもの(武器はワンボタンチェンジできる)を使い分けるスタイルに変更されている。武器につける能力は固定になった代わりに、今作独自の要素として「背障」というものがある。これは2つで1セットの枠にステータス強化の彫像を当てはめていくのだが、セットとして設定した彫像の組み合わせによって追加効果がある。単純に武器攻撃力が上がるものから、回復役を使ったら周囲の時間が止まるといった反則っぽい技など様々。種類はそこまで多い訳では無いが、こうしたステータスをあれこれする楽しさは収集モチベーションにも繋がるので純粋に楽しい。
メトロイドヴァニアとしてのマップ規模は普通、といった感じだが、そのぶん内部に仕込まれた隠し要素やイベントなどが多く、探索アクションだけでなくRPGとしての側面が強い。サイドクエストも健在で、マップ上に散らばったものの収集や特定のアイテムを集める、また暗号をヒントに行う謎解きなど、独特の世界観を感じられる内容になっている。あと、個人的にはゲーム内のテキストフォントがドット文字ではなくなったのがよかった。ドット文字もあれはあれで雰囲気があってよかったのだが、本シリーズはテキストが膨大な上に言葉の言い回しが大仰で難解なので、文字として視認しやすいのは圧倒的にありがたいと感じた。
グラフィックに関しても相変わらずの高クオリティで、独特のアートワークも健在。前作を遊び、この独特の表現に慣れたプレイヤーからすると今作も「らしい」ヴィジュアルで埋め尽くされており、初めて触れるプレイヤーにはインパクトがあるものとなっているはず。ただ個人的には正直前作の強烈なインパクトに比べると全体的にマイルドになったかなという印象。随所で差し込まれるイベントムービーはドットによるものから通常のアニメに変わっている。コテコテのドットアニメから随分こざっぱりした印象だが、これはこれで特異なヴィジュアルがよりわかりやすく伝わるので良いと思う。音楽も前作同様ダークで厳かな雰囲気ある仕上がりでよい。

まとめ

というわけで、良い意味でクセのある部分と丸くなった部分のメリハリが効いた作品。荒削りなところは薄まった分ゲームとしては洗練され細かいストレスや煩わしさもなくなっているので、よりメトロイドヴァニアとして順当に進化したと感じた。ヴィジュアルの奇抜さとグロテスクな表現が大丈夫であれば、そこそこ歯ごたえのあるド安定なメトロイドヴァニアとしてオススメできる良作だと思う。

ここはゲーム中のある場所から行けるスタッフルーム(隠し部屋)。
こういう遊び心は好き。

画像:© 2023 The Game Kitchen

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