ゲーム感想「不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録」

2024年1月販売されたローグライク・ダンジョンRPG。スパイク・チュンソフト開発、販売。1995年にリリースされた「風来のシレン」シリーズのナンバリング6作目で、2010年のニンテンドーDS用ソフト「不思議のダンジョン 風来のシレン5plus フォーチュンタワーと運命のダイス」からおよそ14年の月日を経て登場した作品。私のシレン歴は「初代」と次作のNintendo64の「不思議のダンジョン 風来のシレン2 鬼襲来!シレン城!」で止まっており、相当久しぶりのプレイ。

ストーリー

月影村を後にした数カ月後、お宝を求めてあてもなく旅を続ける風来人のシレンと、その相棒で語りイタチのコッパ。あるときシレンは不思議な夢を見た。ダンジョンの奥深く、助けを求める不思議な女の子の姿と、見たことのない邪悪な魔物の姿。どうやらそこは内海にあるとぐろ島らしい。とぐろ島は今風来人界隈で熱い島でもあり、なんでも海賊が隠したお宝がたくさんあるとして多くの人間が集まっていた。シレンとコッパはとぐろ島へ到達し、その山頂で夢で見た魔物と対峙するのだが……というのが冒頭。

とぐろ島へ向かうシレンとコッパ。
ゴジラのような頭が見えるが、あれがとぐろ島のシンボル「蛇頭山」。いくぜ!

感想

ざっくり「不思議のダンジョン」シリーズについて説明すると「ドラゴンクエストIV」の仲間キャラクター「トルネコ」を主人公にしたスピンオフ作品「トルネコの大冒険 不思議のダンジョン」から始まっており、次の不思議のダンジョン2作目でドラクエの世界観から和風テイストに変化させたものが後の「シレン」シリーズになる。なので初代シレンの正式タイトルは実は「不思議のダンジョン2 風来のシレン」だったりする。ゲームシステムは見下ろし型のターン制RPGで、膨大なアイテムを拾い集めながらダンジョンの奥深くへと潜り、途中でやられるとそれまで手に入れたアイテムを全て失いレベルもリセット、次に挑戦すると、ダンジョンの形状自体がまるで変わっているといういわゆる「ローグライク」ゲーム。「トルネコの大冒険」が出た頃、このジャンルは一般にさほど広まっておらず、結構衝撃的だったように思う。
私は久しぶりに「シレン」を遊んだプレイヤーだが、懐かしさもありつつ今風に進化していて遊びやすいと感じた。グラフィックは昔のイメージを維持しており、違和感はない。というか美麗さ云々でなく和風テイストを感じさせる部分のほうが大事で、それは十分に果たしているといえる。画面の端がぼやけて見えるのも個人的には良いと思った。部屋では全体を見渡せるし、通路ではそれができないというのも視界のルールに沿っている。
遊んでいて便利だと思ったのが画面モードの変更。ゲームオプションの共通設定で「ライブ探索表示」をタイプ1にすると、ゲーム実況動画のようなL字型の余白にステータスが表示されるようになる。シレンは自分のステータスや持っているアイテムなどの情報を常に確認しながら動く必要があるので、これは見やすくてありがたかった。他にもUI表示のショートカットコマンドや、未鑑定のものの名付けも過去に識別したもののリストから選択できるなど、過去シリーズで培ってきた知見で煩わしい操作をかなり減らしている印象を受けた。

ライブ探索表示モード。武器の強さやちからの値、次レベルまでの必要経験値など、
把握しておきたい情報が常に表示されている。超便利。

「情報を常に確認しながら」動くことが必要と書くと敷居が高いゲームにも思えるが、実際これはゲームに慣れてくると自然とやる動作になってくる。これが「不思議のダンジョン」シリーズの面白いところ。ダンジョンによっては持ち帰ったアイテムを再度持ち込むこともできるが、基本は何もない状態かつ、レベルはすべて1からになってしまう。すべて振り出しに思えるが、プレイヤーの知識や状況判断力は確実に成長している。ただダンジョンの場所によって独自のルールがある場所や、出現するアイテムに制限がかかる場所がある。「杖と巻物のダンジョン」や「桃まんダンジョン」がわかりやすいが、こういったダンジョンは出現する武器防具が限定され、装備の強さだけで安定的に戦うことが難しい。かわりに前者では杖と巻物が、後者では魔物に変身できる「桃まん」が多数登場する。他にも出現する魔物の種類に偏りがある、場所限定の特殊アイテムなど、持ち込みの有無なども含め今作はこうした特殊ダンジョンの数が多い。
「風来のシレン」シリーズは初代とその次の64以降遊んでいなかったのだが、本作は「原点回帰」を謳っているらしく、基本的な遊び心地はその頃とあまり変わらず懐かしさを感じた。初代や2で登場したクセ強モンスターも登場し、また新しい敵も同じくらいいやらしい。過去作を遊んだことがあるプレイヤーなら昔の「シレン力」が通用するし、もちろん今作新たに学習しなければならない部分も当然あるので、古参はすんなり入れるし、ライト層ならそれらすべてを新鮮に味わえると思う。当時の記憶だとメインダンジョンの高層までいくのも大変だったが、今回はその道中に町や施設が複数箇所点在し、場所によって体力の回復やショップ、倉庫などがあるため状況を立て直す機会がかなりある。これは今風の改良で良いと感じた。武器防具の合成仕様もやりごたえがあり、元々完成されたゲームシステムがかなりそのまま作られているという印象。何より、プレイしていて偶然起こる奇跡的なプレイや、ちょっとのミスから連鎖的に取り返しのつかない状態にまで追い詰められ、それをどう切り抜けるか頭を悩ませるという、「不思議のダンジョン」ならではの醍醐味をしっかりと味わえる。

どうにか今作最難関ダンジョンをクリアー。
なにげにこれ(99F)系をクリアしたのはシリーズ初かも。

おおむね好印象ではある本作なのだけど、気になったのが新仕様の「デッ怪」。こちらは通常の魔物が3×3マスのいわゆるボスサイズになったもの。高攻撃力かつ前方三方向と左右からの攻撃は一部を除き無敵、フロアに「デッ怪ホール」が存在する限り無限湧き、ただしこちらの攻撃が直撃すればほぼ即死、といった作りになっている。これが非常にピーキーで、通常のピンチの切り抜け方よりも明らかに大味な遊びになってしまっているのはちょっと残念。
あとは風来人救助やパラレルプレイ周り。救助についてはゆるいオンライン要素といった感じで、ダンジョン途中でやられた場合その状態で救助要請を出すことができる。自分で自分を救助するという救済措置があるのはよいのだが、救助途中の成果がすべてポイント換算になるのはあまりやり甲斐を感じない。パラレルプレイも同じダンジョン構造を他人とプレイできるというのは面白いのだけど、ダンジョンをクリアすることなどに一切のメリットがないのはやはりモチベーションを保ちにくかった。

まとめ

というわけで、14年ぶりに登場した「風来のシレン」最新作。全体的に初代2作目の根幹部分は忠実で、やめ時を見失うリプレイ性も相変わらず。シングルプレイ部分についてはほとんど文句はない。おすすめ。

公式サイト
https://www.spike-chunsoft.co.jp/shiren6/

Nintendo Switch
https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000062950.html