ゲーム感想「Momodora：月影のエンドロール」

2024年1月21日

2024年1月にリリースされた2D横スクロール・メトロイドヴァニア。Bombservice開発、PLAYISM販売。Rdein氏の作品「momodora」シリーズの5作目。

ストーリー

妖精たちが管理していた「黒き鐘」が何者かに奪われ、鳴らされた。その鐘の音は死と闇を呼び込み、ルンの大樹の根元にはすっかり悪魔たちが跋扈するようになってしまった。いくつかの村は襲われ蹂躙されてしまい、主人公モモ・レイノルが住むコホ村に危険が迫るのも時間の問題だった。司祭長を務めるモモは、族長の命令で相棒のドラや見習いのセレザとともに悪魔が跋扈するようになったルンの大樹の根を冒険する……というのが大まかな導入。

感想

「momodora」シリーズは元々「洞窟物語」フォロワーのフリーゲームスタートした作品で、日本語翻訳などはされていないものの「momodoraI～III」は現在でもネットを検索すれば遊ぶことが可能（IIIはSteamで販売されている）。日本語ローカライズされているのは、外伝作品の「Momodora：月下のレクイエム」と本作「月影のエンドロール」となっている。
このシリーズの魅力はグラフィックと世界観で、本作も前作「月下のレクイエム」ほどではないもののストーリーや世界観はなかなかに暗め。にも関わらずキャラクターは敵味方関わらずデフォルメされていて、とくに女の子などは敵味方問わずかわいいデザインで、デフォルメされたキャラクターながらタッチが細かく、アニメーションもよく動く。この絶妙なバランスと、物悲しくも熱いBGMもあわせてシリーズの特徴。本作は特にグラフィックに力が入っており、人間キャラクターも前作よりスリムな印象で背景なども含めてより画面が垢抜けていると感じた。

キャラ頭身のわりに光源エフェクトなどで画面全体が滑らかで柔らかい。
世界観ともマッチしていて、個人的にはかなり好み。

物語についてはシリーズ物らしく、キャラクターの関係性は以前の物語を引き継いでおり、そこで若干置いていかれる感はあるものの、メインストーリーとは切り離されているので問題はない。ただ意外なのが、タイトルからしてモモと相棒ドラの冒険のような印象だが、実際は二人が密接に協力して何かをするシーンというのはそんなに多くなかったりする。
ゲームデザイン自体は「月下のレクイエム」をほぼ踏襲しており、近距離攻撃と弓攻撃、移動やジャンプ、ドッジ（回避）と基本的な2D横スクロールアクションになっている。ジャンプはややふんわりした感じで移動も少し滑るがおおむね操作性は良好。本シリーズ特有のヒットストップも健在で、これがゲームとして他の作品と違った独特な遊び心地を生んでいる。
本作で新たに導入された仕様「紋章」システムは、「Hollow Knight」などのチャームシステムというよりはどちらかというと一般的なRPGの装備アクセサリに近い。コストは均一で、スロットに設定することで様々な効果を発揮するのだけど、単純な能力アップから新たに追加攻撃が発生するものまで様々。わりと大味な印象で、ものによっては攻略がだいぶ楽になるものもある。全体的にシステム的に困惑するところはないのだけど、アクション画面でのHPメーターやミニマップなどのUI位置がマップの構造で上下に移動するのは個人的にちょっと煩わしく感じた。ゲーム難易度はかなり優しい部類だが、敵からのダメージは重めで気がつくとすぐにやられてしまう。ただ前述の紋章などの組み合わせによってはゴリ押しで戦うことも可能で、アクション苦手な方でもわりとなんとかなる印象。ゲーム全体のボリュームは最近のメトロイドヴァニアの風潮とは違い少々控えめで、じっくり遊んでも10時間ほどあればおそらくクリアできる長さ。探索要素の発見も難しくはなく、収集要素が残っている箇所がマップに自動でマーキングされるので、わりとコンプリートしやすいと思う。
感想としては繰り返しになるが、ダークな世界観、軽めなボリューム、操作キャラクター同様にかわいい女の子の敵キャラなど、作風はそのままで見栄えが順当にパワーアップしている。退屈になる場面や明らかな欠点というものがほとんどなく、とっつきやすい見た目に遊びやすい操作性とボリュームなので他人にもおすすめしやすいのは良い点だと思う。