ゲーム感想「スプラトゥーン レイダース」
2026年7月リリースのサードパーソンシューター。2015年にWiiUで出た任天堂の新規IP「スプラトゥーン」シリーズ4作目にして初のスピンオフ。開発、販売はもちろん任天堂。
ストーリー
オタカラを求めてウズシオ諸島に向かうバンカラ街で有名な三人組「すりみ連合」のウツホ、フウカ、マンタローと、彼女たちを乗せたヘリコプターの運転手「メカニック」。目的地が近づいてきた途端、突然渦巻く嵐に巻き込まれヘリコプターは墜落してしまう。どうにか無事だったメカニックとすり身連合は、救助の連絡手段もないままサバイバル生活を余儀なくされる。その過程で人が乗れそうな「調査メカ」を発見したメカニックたち。動くように修理したところ突然ソナー機能が発動し、オタカラの場所が明らかになる。元の目的を思い出したすりみ連合たちに説き伏せられ、メカニックはウズシオ諸島の本格的な冒険に駆り出されることに……というのが冒頭。

基本的に皆明るいので、なんだかんだサバイバルを楽しんでいる。
感想
地形をインクで塗って自分に有利な「ナワバリ」を増やすTPS対戦ゲームとして知られるスプラトゥーンだが、本作は対戦要素はなくストーリーモードのみ。内容としては、過去作に存在した一人用の「ヒーローモード」と、二作目から導入された、プレイヤー同士協力して「シャケ」と戦う「サーモンラン」を合体させたようなシステムになっている。
プレイヤーとなるメカニックが、すりみ連合の面々と力を合わせながらウズシオ諸島に眠るオタカラとその秘密を探っていくのだが、敵はこれまでサーモンランで死闘を繰り広げてきたシャケ。過去作に登場したシャケだけでなく本作で新たに追加されたシャケもおり、さらにオオモノシャケの上位種ともいうべき「キワモノシャケ」たちが猛威を振るう。新たな敵でいうと薄い膜のようなものを飛ばし、包み込んだシャケのダメージを軽減したりプレイヤーにスリップダメージを与える「スモーカー」は倒し方の順番を変えさせる厄介な敵。ちなみに過去作で強敵だったカタパッドは、ブキの仕様変更の影響か倒し方が易しくなっている。
本作は先述した「シャケ」たちの他、ブキもデザインなどは新規で作られているがブキの種類などはすべて過去作にあったもので、やり込んだプレイヤーはすぐ手に馴染むはず。変更点として、ブキごとに設定されていたボムとスペシャルが廃止されている。代わりにボムはガジェットと呼ばれるクールタイム制の能力に、スペシャルはすりみ連合の一人との合体技に変更されている。本作ではストーリーでも紹介した「調査メカ」にすりみ連合の一人が乗り込み、プレイヤーに随行してくれる。調査メカは自動で攻撃してくれたり、踏み台にして大ジャンプできたりとなかなか便利で、後述するドリルアタックも含めて、一緒に戦っている感じがしてよかった。

動きを見ているとなかなかきびきびしており、頼もしさがある。
ゲームデザインに関しては、いわゆるハクスラ(ハックアンドスラッシュ)というサブジャンルにあたる。
戦場で敵と戦ってブキやアイテム、通貨を集め、拠点でキャラクターを強化してさらに難しい戦場へ進んでいく。そこにサーモンランの要素が追加されているといった具合。プレイヤーはステージ上でブキや素材の他、ウズ結晶という青い石を集めていく。集めたものでカスタマイズパーツを作ってガジェットやプレイヤーを強化し、さらに良い報酬が狙えるステージを目指す。
遊んでいて感じたのは、流用、転用の巧さ。私は一応スタッフロールが流れる部分まではクリアしたのだが、本作はスピンオフということもあり、新鮮味や目新しさというよりは従来作の安定した遊びでまとめられているといった印象。ゲーム自体はヒーローモードの進行で進んでいくのだが、ステージはシャケと戦うためのサーモンラン用の地形構造になっている。それらは緻密に作られたプラットフォーム型の地形と比べると広く平坦で、足場同士を繋ぐギミックも少ない。そして出てくる敵の大半はお馴染みのシャケたち。使うブキ種も既存のもののみ。こうした部分だけを見ると、失礼ながら従来作よりコスト的な意味でパワーをかけていないのではとすら思ったほどだ。
だがそれでも退屈さはなく、ゲームとしてしっかり成立している。ここが本作の凄いところだと思う。同じブキ、同じシャケでも、広い箱庭マップを回って規定値までイクラを集める「デカ結晶」ステージ、ブキやガジェットが固定された状態でクリアするパズル的な「つまみぐいダンジョン」、特定のオオモノ(キワモノ)シャケのみ出現する「巣窟」、従来のサーモンランライクな、制限時間内にイクラを規定量集めて次の階層へと進む「地下遺跡」など、ゲームルールと敵の配置だけでバリエーションを出しており、見せ方、置き方が見事だと感じた。
また、ボス戦においても工夫が感じられる。先述の感想と言ってることが逆に聞こえるかもだが、本作で新鮮に感じたのはこの部分。
従来のボス戦は、敵の攻撃を回避し、その際に弱点を攻撃する「正解行動」を行うことでボスをダウンさせ、その隙に攻撃を叩き込んでダメージを与えるというのがセオリーだったと思うのだけど、本作ではその流れではない。ボスの攻撃をある程度凌ぎきると「イクラチャージタイム」という状態になり、ボスの攻撃にプラスしてその場にシャケが大量に出現する。これらを倒し、イクラを規定量ためると調査メカが必殺の「ドリルアタック」をボスにお見舞いし、ボスがダウンするという流れになっている。正解行動が完全になくなったわけではないが、それをしないと効果的にダメージが与えられないのではなく「とにかくシャケをシバいてドリルすればOK」という、すべてのボスで倒し方を共通化しているのだ。
ちなみにこの「ドリルアタック」は、各ステージにある結晶を破壊する際にも使用する。プレイヤーの入力によって能動的にフェーズの変化を引き起こさせるという試み、ボス戦での遊びに、通常ステージでの遊びを混ぜ込むなど、細かいところではなかなか実験的だと思った。
ただブキやガジェット強化の自由度というかカスタマイズによる戦い方の変化などは少なくともゲームクリアまではそこまで感じることはなかった。一応今作にはシャケに対する「炙り」や「発酵」などの状態異常が新規追加されているが、それらを駆使してもバランスよく抑えられている。強敵が秒で溶けるようないい意味でのぶっ壊れブキみたいなメチャクチャなもののを作れないのが個人的には残念なところ。
またスプラトゥーンシリーズといえば、ラストバトルでの演出、音楽の素晴らしさでも知られるが、それは本作でも健在。個人的に対戦はそんなにガチにやる勢ではなかったので、これがちゃんと用意されているだけでも、ストーリーのごほうびとしては満足。
まとめ
というわけで、既存の素材やデータをうまく置き直して一本のゲームに仕上げた安定した面白さのスピンオフ作品。流用データを組み合わせてよりブラッシュアップしてきたなという感じで、スプラトゥーンらしい味、そしてクオリティは十分に味わえる。対戦ではなくヒーローモードやサーモンランが好きな方が久々に手に取る分には良いと思う。
公式サイト
https://www.nintendo.com/jp/games/switch2/aadla/index.html






ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません