ゲーム感想「Haiku, The Robot」

2022年リリースの2D横スクロール・メトロイドヴァニア。Mister Morris Games開発・販売。このスタジオはJordan Morris氏の個人スタジオな模様。セールで安かったPC版(Steam)をプレイ。

ストーリー

200年前――大災厄によって世界は一変した。それから時が経ち、ロボットたちの楽園と化していた地下世界アルカディアで、プログラムを汚染するウイルスが蔓延。多くのロボットたちが暴走するようになってしまったのだ。そのような状況下で、一体の小さなロボット「ハイク」は何者かの呼び声で目覚めた。なぜかウィルスの影響を受けないハイクは、手にしていた剣を武器にアルカディアを冒険し、世界を救うために奔走する……というのが大まかなストーリー。

感想

まず、本作のゲームシステムは傑作メトロイドヴァニア「Hollow Knight」をかなり参考にしていることがうかがえる。剣攻撃をした際の微妙な硬直やノックバック、敵を倒したときに飛び散るエッセンスをしっかり接触して回収しなくてはならない仕様、能力や特殊効果を付与するチップがセーブ地点でないと編集できない部分など、「Hollow Knight」を遊んだプレイヤーならかなり既視感を覚えるはず。また序盤に物語の終着点らしき場所が示され、その扉を開くための鍵にあたるものを探すというマップ構造や、よくよく考えるとウィルスに世界が侵されているというのもかなり寄せている。「Hollow Knight」の「虫」の世界を、かなりそのまま「機械」に置き換えたような感じで、強いリスペクトを感じた。
かといって単なる模倣というわけでもなく、本作のグラフィックはドット絵なのだけどこれが非常に良かった。デフォルメが効いたキャラクターや背景は、少ない密度ながら画作りのクオリティは相当高い。音楽も荒廃した世界観にあっていて耳に心地よく、そこにこの温かみあるタッチのグラフィックのバランスが、過度に陰鬱にならずに小さなロボットの冒険として楽しめるようになっていると感じた。

植物が生い茂る廃墟。色を効果的かつ印象的に使っており、画面として完成されている。
SEの系統から、傑作RPG「マザー」シリーズの影響もありそうだなーと思った。

アクションは剣攻撃が大部分で、移動ボタンの上下と組み合わせて上斬り下斬りが可能。飛行する敵が多いので、攻撃の振りがすべて広範囲をカバーするようになっておりそこは考えられていると思った。後半になるとヒートゲージを使用する爆発攻撃が追加され、チップによってそれらに効果付与ができるものの、ちょっと攻撃の種類、というか遊び方の幅としてはすくなめ。自機操作はしやすく、アクションやボス戦など「Hollow Knight」フォロワーであるのに決して「死にゲー」ではないレベルの難しさで、わりとグラフィックから受けるイメージに即したもののように感じた。
操作感やボス戦の難易度、グラフィックなど、全体的にかなりとっつきやすいのだけど、メトロイドヴァニアとしてのレベルデザインについてはかなりハードだったりする。具体的には探索に対しての「ヒントのなさ」がなかなかのもので、どこへ進むべきかの明示がないまま延々とマップを探索するというデザイン。決められた目的地ではなく好き勝手に移動できるというのはここはメトロイドヴァニアというジャンルの醍醐味ではあるのだが、行動可能範囲が拡張される必要なアビリティ(二段ジャンプなど)がストーリー進行とは別に発見しにくい場所に秘匿されている場合があり、これを発見できないせいでかなり「手詰まり」に近い状況になることが何度かあった。マップのマーカーも特定のキャラクターを探索し見つけないといけないので不便だし、プレイヤーが目印として設置するのも不可能で行った場所行ってない場所が分かりづらい。探索が高難度であることが悪いわけではないけど、見た目とアクション難度が良い塩梅でまとまっていただけにここだけちょっと勿体なく感じた。

小さいながらも剣を巧みに扱うロボット、ハイク。
ジャンプや緊急回避などを駆使して、ウィルス塗れの世界を冒険するのだ。

まとめ

というわけで、「Hollow Knight」のゲーム性を魅力的なドット絵で再現したメトロイドヴァニア。「Hollow Knight」と同じくUnity製で、アクションを本家と同レベルまで引き上げていることや独自のドットグラフィックは素直に素晴らしいと思った。ちなみにJordan Morris氏はアートとプラグラミングを一人で行っており、このクオリティを叩き出せるのはほんと凄い。ちなみにSteamは1月5日まで40%セール中なので気になった方はぜひ。

PC(Steam)
https://store.steampowered.com/app/1231880/Haiku_the_Robot/