ゲーム感想「Ori and the Will of the Wisps」

「オリとくらやみの森」(Ori and the Blind Forest)の続編。

美しいグラフィックと、壮大なオーケストラサウンドが特徴の横スクロールアクション・メトロイドヴァニア。

まず目を引くのはグラフィック。とにかくどこを切り取っても精細で美しい。
特に光の処理がリアルで、たとえばオリが使う光る剣などは、振るたびに剣と光源が連動して動く。
投射物なども同様に、光る矢などを暗闇に放てば矢の周囲だけ光りながら飛んでいく。
アニメーションもキャラクターの動きだけでなく、木の枝の足場に乗ると軋んでたわむ、背景の草の脇を通り抜けるとそよぐなど、背景、オブジェクトに至るまでプレイヤーの干渉で変化がある。

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出典:https://www.orithegame.com/media/

ストーリーは、オリとクゥ、そしてナルとグモの4人(匹?)生活から始まる。
ナルとグモは前作「オリとくらやみの森」での仲間。フクロウのクゥも存在は前作から示唆されているが説明は割愛。この中では一番幼い。その後、オリはクゥとともに遠く離れた「ニウェンの地」に迷い込み、さらに2人ともバラバラに離れてしまう。

ニウェンの地は、土地を守護する精霊樹から光(ウィスプ)が失われたせいで荒涼としており、善良な種族は日々驚異に怯え隠れながら暮らしている。
オリは仲間を探す過程で土地を蘇らせる手助けをすることになる。善良な種族たちのお願いを聞いたり、ときには手助けしてもらったりしながら目的を果たしていくという、きわめて王道的な展開。

オリの操作感はかなりよく、アニメーションが豊かなこともあってストレスは感じない。
ジャンプも浮遊感があってふわふわしているので、空中で軌道など変えやすい。
攻撃やスキルは、3つあるボタンにアクションを割り振る形式。だいたい通常攻撃で1つ使うので、残り2つにスキルを好きに付け替えしていくことになる。通常攻撃は、前作ではオーブからの射撃だったのが今作で光の剣になっており、扱いやすい。

ゲームが進むとオリは「打撃」(Bash)を覚える。
これは前作にもあったオリの代名詞的アクションで、オブジェクト、敵の投射物、もしくは敵そのものを掴んで、踏み台のようにしてポーンと跳ね上がることができる。
掴んだものは、オリが跳ねる方向と真逆の方向に飛んでいく。「打撃」というより「掴み跳び」といった感じ。
空中で対象を掴んでさらに跳躍したり、敵が撃ってきた弾を、敵に向けて跳ね返すといったことができる。
真上に対象を投げ飛ばすことで、お手玉のように扱うこともできる。

初期の場合ライフは少なめ。
そのわりに敵の攻撃が早く、またステージの至るところにトゲが設置されているので、注意しないとすぐにダメージを受けてしまう。しかしそのぶん回復も多めに配置されているので、いっぱい食らっていっぱい回復する(魔力のようなものを消費して回復することも可能)デザインになっている。
万が一やられてしまっても、リトライまでの時間は短い。

オートスクロールの「脱出パート」では、前述のBashや二段ジャンプ、空中ダッシュなどを駆使して後ろから迫ってくる危機から逃れる遊びで、スピーディーな判断が求められる。
正解ルートを短期間で見極めて進む感覚は緊迫したシチュエーションも相まって手から汗が出るが、うまく移動できないと一撃で死んでしまうのために難易度はちょっと高い。

前作「オリとくらやみの森」はこの一撃死ゲーの印象が強く、アクション苦手な人だと何度もリトライすることになるので、理不尽さを感じてしまうのは否めない作りだったと思う。その点でいうと、今作の脱出パートを遊んだ印象としては、ミスってもリカバリーが効くことが多いので、緊張感はそのままに以前よりマイルドになっている。

また、前作にあったセーブポイントを自分で生成するというシステムは廃止され、完全なオートセーブ対応になっている(もちろんセーブポイントもある)。

小さな変更点はあるものの、とにかく全体的に遊びやすくなっている印象。オリのふわふわ操作感(雑な操作でもリカバリーが効く)が前以上にうまく機能しているし、もちろん能力追加によって行動範囲が拡大されるというお約束のゲームデザインにもなっているので、メトロイドヴァニア好きな人もニッコリ。

別に前作をやらなくてもゲームはクリアできるし充分楽しめると思うが、設定とキャラクターの関連性を前作から引き継いでいるので、気になるという人はぜひ「オリとくらやみの森」も遊んで欲しい。
若干ゲーム性は違うものの、オリの操作感、グラフィック、音楽は今作とほとんど変わらない(つまり高水準ってこと)ので。

個人的には前作のあれをああ使った冒頭10分の流れが良すぎて、いきなりウルッと来た。

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