アーロンチェアを修理してもらった話

今回は、アーロンチェアの修理サービスを利用した体験談になります。

自分が自宅での作業用にアーロンチェアを購入したのは2011年ごろ。高級オフィスチェアの代名詞だけあってなかなか良いお値段なのだが、当時関わりのあった会社が社割をやっており、それを利用できるということでそこそこお安く手に入れることができた覚えがある(それでも結構した)。

使ったことのある方は共感していただけると嬉しいのだが、アーロンチェアを一言でいえば質実剛健。椅子としてはかなり重量があり、かつ機能に特化した飾り気のないデザイン。ただ人間工学に基づいて設計されたというだけあって確かに座ったときの体の負担は少なく、長時間座っていられる。あととにかく頑丈で、実に10年近くなんの不具合もなく使えたのも凄い。
ところが10年目に突入した頃から、背もたれに寄りかかったときや前方に体を傾けたときなどガタッという明らかな異音とともに、座面というか足より上の全体がガタつくようになった。

流石に新しい椅子に買い替えるかなぁとも考えたが、アーロンチェアのメーカーであるハーマンミラーはメンテナンスが充実しており、確か購入時にも品質保証書がついてきたなぁというのを思い出し、重い腰を上げてとうとう直してもらうことに。ネットの入力フォームに従うままに、故障箇所など(わからないから異音のする可動部部分を適当に)写真に取って送信すると、後日「お客様は代理店で購入されておりますので、そちらにお問い合わせいただけますでしょうか」とのこと。ちゃんと購入した代理店でないとダメらしい。
ということで気を取り直して代理店のサイトを見つけてフォームから送ると、後日代理店のご担当の方からメールが届いた。実際の修理になるまで結構やり取りの往復があったので、ざっと流れを。

代理店からは、「修繕箇所の確認」→「修理対応できるかの確認」→「費用の見積」を順々にやっていくので、まずはぶっ壊れている箇所の写真を画像で送ってとのこと。代理店がハーマンミラーメンテナンスに対応できるか問い合わせるようである。
最初に撮った写真を再度メール添付して送った結果、「ガス圧シリンダーの経年劣化の可能性が高い」とのこと。アーロンチェアの品質保証は故障箇所によって保証年が異なり、シリンダーの交換は2年間である。なので余裕で無料修理範囲外からオーバー。まあ、致し方ない。
その後、代理店の方からは購入時の住所、連絡先や、シリアルナンバー、椅子の座裏にあるラベルの画像などを送って欲しいという連絡が。住所等はおそらく購入履歴の確認に使用されるのだと思われる。この後で見積書が送られてきたのだが、シリンダー費用18000、配送・引き取り費10000、消費税2800で計30800円なり。
別の新しい椅子が買える額ではあるけど、いまと同等かそれ以上に満足できる座り心地かの保証はない。元の価格などを考えてもまだ痛手には感じない、そう思わせるくらいにはアーロンチェアはいい椅子だと思う。
見積書にOKを出したら次は本注文ということになりほぼ同じ内容の注文書が届く。こちらに記名と捺印(両方とも電子だけど)をし、送ると今度は請求書が届くので、書かれている口座に入金。見積→入金までの流れと並行して日時の相談。代理店の方が出してきた時間から選んでねということなので希望を伝えると、その後相手から以下の内容が。
見積書には「配送・引き取り費」と書かれていたが、実際はメンテナンスの方が家に来ての訪問修理という形になりますとのこと。引き取り料(修理スタッフ派遣代・工賃)ということなのであろうか。最初に説明がなかったのは少しモヤモヤが残るが、椅子を送ると戻ってくるまで2週間程度はかかるらしく、その間代わりの椅子(……がないのでバランスボールの予定だった)での生活を覚悟していたのでそれがなくなるのならとプラスに捉え、了承。

というわけで修理当日、ハーマンミラーメンテナンスから来られた修理担当の方は大変丁寧な方だった。実際に症状を説明し、その場で再現してみせると、やはり「シリンダーの経年劣化で隙間ができてしまっている」からとのこと。正直なところ訪問修理で一番不安だったのは、画像だけで検討をつけた動作不良の原因と実際の原因が違っていたときどうするのかということだったので、そこはよかったといえる。
で、実際の交換作業は実に手際がよかった。椅子の隙間に溜まった埃が散らないよう専用のシート(大体畳1枚分くらいの大きさに見えた)を広げて、その上で椅子をバラす→交換→再組み立てと手早く済ませていく。電動工具を使うのでかなり作業の音は大きいものの、1時間~1時間半程度と事前に聞いていた所だいたい30~40分ほどで終了。座ってみると、たしかにガタガタはなく安定した元の座り心地に。
さらに、他の箇所もさらりと見てくださったようで「他の部品も特に問題はなさそう」とのこと。アーロンチェアはオーバーホールメンテナンス(全部品をバラしての点検清掃)ができるらしく、それに比べたら簡易的なチェックなのだろうけど、それでもありがたい話。さらに「肘掛けがちょっとグラグラしてると思うんですけど、固定位置を少しずらすと安定しますよ」ということも教えていただいた。確かに若干緩んでるという感じがあった上にずっと同じ場所で動かさずに使っていたので、これはありがたい情報。たしかに少し高さを変えただけで安定感がぜんぜん違った。

というわけで、無事故障前の状態に戻ることができたのでした。価格としては決して安いとはいえないが、これでまだ数年は使えると考えると満足度は高い。大した稼ぎでもないのに無理をして買ったのは「デスクワークするならパソコンの性能よりパソコン周りに金をかけろ」というどこぞのネットの先人の言葉を真に受けたからなのだが、これは本当だと思う。「いいものを長く使う」という暮らしができると気持ちがいいものだが、保証やメンテナンスが充実しているならそれもやりやすい。
個人的にはいい椅子を探している方にはぜひアーロンをおすすめしたいが、価格的にあれなのでちゃんと高級家具屋やショールームなどで試座するなどしてから検討すると良いと思います。

アーロンチェア(ハーマンミラー公式)
https://www.hermanmiller.com/ja_jp/products/seating/office-chairs/aeron-chairs/