映画感想「ギャングバスターズ」

2012年のアクション映画。監督バリー・バトルズ、主演クレイン・クロフォード他。Amazon Prime Videoにて視聴。

あらすじ

アラバマ州モンゴメリーを根城にする荒くれ者たち、ブリック、リンカーン、マックイーンのウーディ三兄弟は、依頼を受け白昼堂々と犯罪者たちの家に乗り込み始末したもののなんと人違い(それでも犯罪者ではあったのだが)。そのため今回は依頼主から報酬をもらうことができなかった。
しょげている三人のところへ、セレステという美女が依頼を持ってやってくる。元夫のカルロスというギャングから、息子のロブを連れ戻してほしいというのだ。「人さらいはしない」と最初は渋ったものの、直近の仕事をしくじったことや高額の報酬につられて結局引き受けることに。早速カルロスの家へ行き、いつものごとく銃で暴れまわった末にロブを見つけ奪取することに成功するのだが、運悪く死ななかったカルロスは怒り狂い、様々な殺し屋を差し向ける……というのが物語の大筋。

感想

「ギャングバスターズ」といういかにもB級C級な邦題だが、面白かった。不良少年がそのまま大人になったような三兄弟と、彼らがギャングから奪った少年ロブとの交流、敵役カルロスが差し向ける殺し屋たちとのアクション要素など、意外と中身が詰まった作品。三人の荒くれ者たちは、長男で三兄弟の司令塔ブリック、元プロレスラーだが喉が潰れ話せない次男リンカーン、お調子者の三男マックイーン。兄弟間に変なわだかまりはなく、思ったことを言い合える関係で信頼しあっている感がよい。

冒頭の標的がいる家(人違い)に乗り込む直前のシーン。BGMもノリノリ。
リンカーン(左)、マックイーン(奥)、ブリック(右)。

個人的にビジュアル的に長男と三男が見分けづらかったのだが、屈強な彼ら三兄弟がロブ(実は体に障害を持つ少年)に対して不器用ながらも接する様子は見ていて微笑ましく、イカれた荒くれ者ばかり出てくるわりに優しさが感じられる。「不良や強面が実は子供や弱者想い」というと大抵はあざとさが鼻につきがちだが、この作品に限っていえば三兄弟がいい身でバカで過剰にオラオラ感を強調しない点や、後述する殺し屋たちの見世物的な面白さなどでその要素をうまく中和していると感じた。

本作最大の特徴は、カルロスがけしかける殺し屋たちの奇抜さ。カルロスの家からロブを救出した後、三兄弟は車で依頼主のセレステのもとに向かうのだが、その様子はちょっとしたロードムービー的な雰囲気がある。そんな彼らに襲いかかるのは、色仕掛けで標的に近づくコールガール殺し屋軍団、「マッドマックス」に出てきても違和感がない改造トラックに乗った武装集団、弓矢を使うネイティブアメリカン系のバイカー武装集団など、一癖も二癖もある連中ばかり。現実にはいなさそうでもしかするといそうという絶妙なところを突いてくる。

見張り台付きの改造トラックに追われる三兄弟たち。
フィクションらしい無茶苦茶さながら、絶妙なありそう感のせいで笑えてしまう。

このバカバカしさが非常によいし、それらを撃退するシチュエーションなどもしっかり工夫があり、さらに戦うたびに三兄弟もボロボロになっていくので飽きさせない。ただ結末となる戦いが若干あっさり気味に終わってしまうところが少々残念。まあ、それでも結末では意外な人物から意外な言葉が聞けるなど、物語もきれいに終わらせてくれる。

というわけで、荒くれ者三兄弟の奇抜なロードムービー風・バトルアクション。2時間弱の内容ながらノリノリで銃をぶっ放すシーンや少年との微笑ましい交流、イロモノの殺し屋たちなど見所は多く、頭を空っぽにして観られるちょっとした掘り出し物的な作品。

画像:© 2012 BMP Baytown Disco, LLC

Amazon Prime Video
https://www.amazon.co.jp/dp/B07QF3K13P/